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労働時間の把握義務:使用者が記録・保存すべきこと(2026年版)

使用者は、労働者ごとに労働日ごとの始業・終業時刻を確認し記録しなければなりません。2019年4月からは労働安全衛生法により、管理監督者を含むすべての労働者の労働時間の状況を、タイムカードなどの客観的な方法で把握することが義務になりました。出勤簿や賃金台帳は5年間(当分の間は3年間)の保存が必要です。

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要点のまとめ

労働時間の記録に関する主なルール(2026年10月時点)
項目内容根拠
始業・終業時刻の確認・記録労働日ごとに始業・終業時刻を確認し、適正に記録する厚生労働省ガイドライン(2017年1月20日策定)
労働時間の状況の把握タイムカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法で把握する。管理監督者も対象労働安全衛生法第66条の8の3、同規則第52条の7の3
把握した記録の保存3年間保存するための必要な措置を講じる労働安全衛生規則第52条の7の3第2項
賃金台帳の記載労働日数、労働時間数、時間外・休日・深夜の労働時間数などを記入労働基準法第108条、同規則第54条
書類の保存期間労働者名簿、賃金台帳、出勤簿・タイムカード等は5年間(経過措置により当分の間3年間)労働基準法第109条、附則第143条
時間外労働の上限原則月45時間・年360時間。特別条項でも年720時間、月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内労働基準法第36条

このページは一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。業種、労働時間制度(変形労働時間制、裁量労働制など)、就業規則や労使協定によって扱いが変わることがあります。具体的な判断は、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士にご相談ください。

厚生労働省ガイドライン:始業・終業時刻をどう確認するか

厚生労働省は2017年(平成29年)1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定しました。使用者は労働時間を適正に把握する責務があり、そのために労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録することが求められます。原則的な方法は次の2つです。

ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。イ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

自己申告制は例外。使う場合の条件

やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合、ガイドラインは次のような措置を求めています。

  • 対象となる労働者に、実態どおりに正しく申告するよう十分に説明すること。
  • 労働時間を管理する者にも、制度の適正な運用について説明すること。
  • 申告された時間と、入退場記録やパソコンの使用時間などの実態とに大きな乖離がある場合は、実態調査をして補正すること。
  • 休憩や自主的な研修などを理由に労働時間外とされている時間について、実際には指示による業務でないかを確認すること。
  • 申告できる時間外労働の上限を設けるなど、適正な申告を妨げる措置を講じないこと。

どの時間が労働時間になるか

ガイドラインは、使用者の指揮命令下に置かれている時間が労働時間であるとし、次のような例を挙げています。

  • 使用者に義務づけられた制服への着替えや、業務終了後の清掃などを事業場内で行う時間
  • すぐに業務に従事することを求められ、労働から離れることが保障されていない待機時間(いわゆる手待時間)
  • 参加が業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、指示による学習の時間

労働安全衛生法:労働時間の状況の把握義務(2019年4月〜)

働き方改革関連法により、労働安全衛生法第66条の8の3が新設されました。長時間労働者への医師による面接指導を確実に行うため、事業者は労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。方法について、労働安全衛生規則は次のように定めています。

タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。

労働安全衛生規則第52条の7の3第1項

ガイドラインと違い、この義務は管理監督者や裁量労働制の対象者も含む点が重要です。残業代の対象外である管理職についても、在社時間や働いた時間を客観的に把握する必要があります。把握した記録は3年間保存するための措置が必要です。

自己申告による把握が認められるのは、客観的な方法による把握がやむを得ず難しい場合に限られます。たとえば直行直帰で客観的な記録が取れない場合などです。スマートフォンでの位置情報付きの打刻は、こうした場面でも客観的な記録を残す手段になります。

出勤簿・賃金台帳の作成と保存期間

労働基準法では、労働者名簿(第107条)と賃金台帳(第108条)の作成が義務づけられ、出勤簿やタイムカードなどの労働時間の記録とあわせて、いわゆる法定の帳簿として扱われます。賃金台帳には、労働日数、労働時間数、時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数などを記入しなければなりません。記入しなかったり、虚偽の記入をしたりすると、30万円以下の罰金の対象になります。

保存期間は、2020年4月の労働基準法改正で3年から5年に延長されましたが、経過措置として当分の間は3年とされています。同じ改正で、未払賃金を請求できる期間(賃金請求権の消滅時効)も5年(当分の間3年)になりました。

労働時間に関わる主な記録の保存期間
書類保存期間起算日の目安
労働者名簿5年(当分の間3年)労働者の死亡、退職または解雇の日
賃金台帳5年(当分の間3年)最後の記入をした日(賃金の支払期日の方が遅い場合は支払期日)
出勤簿・タイムカード等の労働時間の記録5年(当分の間3年)最後の記入をした日(同上)
労働時間の状況の記録(安衛法)3年記録を作成した日

経過措置の3年はあくまで当面の扱いです。未払賃金の請求期間とのずれを避けるためにも、勤怠記録は5年間残しておくのが安全です。紙の出勤簿の書き方と保存方法は出勤簿の解説をご覧ください。

36協定と時間外労働の上限

法定労働時間は1日8時間・1週40時間です(労働基準法第32条。常時10人未満の商業・接客娯楽業などの特例措置対象事業場は週44時間)。これを超えて働かせるには、労使で36協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。2019年の働き方改革で、時間外労働に罰則付きの上限が設けられました。

  • 原則: 月45時間・年360時間
  • 特別条項付きでも: 年720時間以内
  • 休日労働を含めて: 月100時間未満、2〜6か月のいずれの平均も80時間以内
  • 月45時間を超えられるのは: 年6か月まで

上限規制は大企業に2019年4月、中小企業に2020年4月から適用され、猶予されていた建設業や自動車運転の業務などにも2024年4月から適用されています。違反した場合、6か月以下の拘禁刑(2025年6月の刑法改正前は「懲役」)または30万円以下の罰金が科される可能性があります。月平均80時間を超えていないかを知るには、休日労働を含めた正確な日々の記録が不可欠です。

割増賃金の率と計算例は残業代の計算方法、建設業の事情は建設業の勤怠管理で解説しています。

記録がないと何が起きるか

  • 未払残業代の請求に反論できない。 労働者側のメモやメール履歴、パソコンのログなどが証拠になり、会社側に客観的な記録がなければ不利になります。
  • 労働基準監督署の調査で是正勧告を受ける。 労働時間の把握が不適切だと指摘されることがあります。
  • 上限規制違反に気づけない。 複数月平均80時間の判定は、日々の記録がなければできません。
  • 医師による面接指導の対象者を特定できない。 長時間労働者を把握できず、健康確保の措置が遅れます。

適切な勤怠記録の条件

業種を問わず、次の項目を満たす記録であれば、法令の求める共通部分をカバーできます。

  1. 誰が: 労働者の氏名と、複数拠点の場合は勤務場所。
  2. いつ: 日付、実際の始業時刻と終業時刻。月末にまとめて書くのではなく、その場で記録したもの。
  3. 休憩: 開始と終了、または合計時間。
  4. 時間外・休日・深夜: 割増率が異なるため、それぞれの時間数を分けて集計。
  5. 修正の履歴: 誰が、いつ、なぜ修正したか。
  6. 従業員の確認: 月末に本人が勤務時間を確認したことが分かること。
  7. 保存: 5年間、すぐに表示・印刷できる状態で保管。

QRtimetrackで客観的な記録を残す

QRtimetrackでは、従業員が自分のスマートフォンでQRコードを読み取るか、GPSエリア内で打刻するか、入口のタブレットで打刻します。時刻はサーバーで記録され、位置情報や任意の自撮り写真が付くため、自己申告ではなく客観的な記録になります。

  • 始業・終業・休憩の実際の時刻を記録し、時間外・休日・深夜の時間を自動で分けて集計。
  • 修正には理由の入力が必須で、修正者とともに履歴に残ります。
  • 月締め後は編集不可。従業員がスマホで勤務時間を確認し、その結果がレポートに残ります。
  • 管理監督者も同じ方法で打刻でき、安衛法上の労働時間の状況の把握に使えます。
  • Excel、CSV、PDFで出力でき、保存や監督署への提示にも対応しやすい形式です。

料金は稼働従業員1人あたり月1.99ユーロ、最低5人分(月9.95ユーロ、税別)。7日間無料、クレジットカード不要です。紙からの移行は勤怠のデジタル化と法律、勤怠管理アプリもあわせてご覧ください。

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よくある質問

労働時間の把握はすべての会社の義務ですか?

はい。労働者を雇用するすべての事業者に、労働安全衛生法上の労働時間の状況の把握義務があります。会社の規模や業種による免除はありません。厚生労働省のガイドラインも、労働基準法の労働時間規定が適用される事業場のすべてを対象としています。

管理職(管理監督者)の労働時間も記録が必要ですか?

必要です。管理監督者は労働時間・休憩・休日の規定や時間外の割増賃金の対象外ですが、労働安全衛生法の労働時間の状況の把握義務の対象には含まれます。また深夜労働の割増賃金は管理監督者にも支払う必要があるため、深夜の時間も記録しておく必要があります。

自己申告制の勤怠管理は違法ですか?

直ちに違法ではありませんが、例外的な方法です。客観的な方法による把握がやむを得ず難しい場合に限られ、従業員への説明、実態との乖離の調査と補正、申告の上限を設けないことなどの措置が必要です。可能であれば客観的な記録に切り替えるのが安全です。

勤怠記録は何年保存すればよいですか?

出勤簿やタイムカードなどの労働時間の記録、賃金台帳、労働者名簿は、労働基準法第109条により5年間です。ただし経過措置により当分の間は3年間とされています。労働安全衛生法に基づく労働時間の状況の記録は3年間です。未払賃金の請求期間も考えると、5年保存をおすすめします。

タイムカードの打刻時刻と実際の労働時間が違う場合は?

打刻時刻と実際の業務の開始・終了がずれる場合は、その理由を確認し、必要に応じて補正します。たとえば着替えが義務づけられているなら、その時間も労働時間です。修正は理由とともに記録し、後から説明できるようにしておきましょう。

勤怠記録は電子データで保存してもよいですか?

はい。労働基準法の書類は、必要なときにすぐ画面表示や印刷ができ、改ざんを防ぐ措置が取られているなどの条件を満たせば、電子データで保存できると考えられています。詳しくは所轄の労働基準監督署に確認してください。

出典

  1. 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
  2. 厚生労働省「ガイドラインの主なポイント」(PDF)
  3. 確かめよう労働条件:労働時間の把握に関するQ&A(厚生労働省)
  4. 厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」(PDF)
  5. 厚生労働省 働き方改革特設サイト:時間外労働の上限規制
  6. 労働基準法(e-Gov法令検索)
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