勤怠管理のデジタル化は義務か:法律と電子保存のルール
日本の法律は、勤怠管理を電子化すること自体を義務づけてはいません。しかし2019年4月から、労働時間の状況をタイムカードやパソコンの使用時間の記録などの客観的な方法で把握することが義務になり、自己申告は例外とされました。紙でも違法ではありませんが、客観性、上限規制の管理、5年保存を考えると、デジタルの記録が最も確実です。
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結論:義務なのは「電子化」ではなく「客観的な把握」
| 論点 | 現在のルール |
|---|---|
| 勤怠管理の電子化 | 法律上の義務はない |
| 労働時間の状況の把握 | 義務。タイムカード、PCの使用時間の記録等の客観的な方法が原則(安衛法第66条の8の3、安衛則第52条の7の3) |
| 始業・終業時刻の記録 | 労働日ごとに確認・記録(厚生労働省ガイドライン) |
| 自己申告制 | 客観的な方法がやむを得ず難しい場合の例外。実態調査・補正などの措置が必要 |
| 帳簿の電子保存 | 表示・印刷がすぐにでき、改ざん防止などの要件を満たせば可能とされている |
| 保存期間 | 出勤簿・賃金台帳など5年(当分の間3年) |
このページは一般的な情報提供です。電子保存の具体的な要件や業種ごとの扱いは、所轄の労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。
2019年の働き方改革で何が変わったか
2019年4月施行の働き方改革関連法で、勤怠管理に関わる大きな変更が2つありました。
- 時間外労働の上限規制: 月45時間・年360時間を原則とし、特別条項でも年720時間、月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内という罰則付きの上限が設けられました(中小企業は2020年4月から)。
- 労働時間の状況の把握義務: 労働安全衛生法に、管理監督者を含むすべての労働者の労働時間の状況を客観的な方法で把握する義務が加わりました。
上限規制は「月の合計」だけでなく「複数月の平均」で判定するため、日々の正確な記録が前提になります。紙の記録を手で集計していると、平均80時間を超えそうな従業員に事前に気づくのは困難です。
2024年問題:建設業・物流業への上限規制の適用
上限規制の適用が猶予されていた建設業、自動車運転の業務(トラック・バス・タクシー)、医師などにも、2024年4月から上限規制が適用されました。いわゆる2024年問題です。
- 建設業: 一般の業種と同じ上限が適用。ただし災害の復旧・復興の事業には、月100時間未満・複数月平均80時間以内の規制は適用されません。
- 自動車運転の業務: 特別条項付きの上限は年960時間。あわせて改善基準告示による拘束時間や休息期間のルールも守る必要があります。
現場や車両で働く人が多い業種ほど、紙の日報やタイムカードでは正確な時間を把握しにくく、スマートフォンでのGPS・QR打刻のような方法が向いています。詳しくは建設業の勤怠管理をご覧ください。
勤怠の記録は電子データで保存できるか
労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などの労働基準法上の書類は、紙でなければならないわけではありません。厚生労働省の通達やQ&Aでは、必要なときに直ちに画面に表示し印刷できること、記録の改ざんや消失を防ぐ措置があることなどの条件を満たせば、電子的に作成・保存することが認められていると解されています。
- 労働基準監督署の調査などで求められたときに、すぐ提示・印刷できる状態にする。
- 修正の履歴が残り、誰がいつ何を変えたか分かるようにする。
- バックアップを取り、5年間(当分の間3年間)データを失わないようにする。
労務全体のデジタル化の流れ
勤怠以外の労務手続きでも、紙から電子への移行が進んでいます。
- 労働条件通知書: 2019年4月から、労働者が希望すればFAX、電子メール、SNSなどで明示できるようになりました。
- 賃金のデジタル払い: 2023年4月から、労働者の同意を得て、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への賃金支払いが可能になりました。
- テレワーク: 厚生労働省のテレワークガイドラインは、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録で始業・終業時刻を確認する方法を示しています。テレワークの勤怠管理
賃金の支払いや労働条件の通知がデジタルになっても、その前提となる労働時間の記録が紙のままでは、転記の手間とミスが残ります。
今すぐやるべきこと
- 現状の把握方法を確認: 自己申告だけに頼っていないか。客観的な記録と照合しているか。
- 管理監督者も対象に: 残業代の対象外の管理職も、労働時間の状況の把握が必要です。
- 始業・終業時刻を実際の時刻で: 15分単位の丸めや一律の時刻記入をやめる。
- 時間外・休日・深夜を分けて集計: 上限規制と割増賃金の両方に必要です。
- 保存体制を整える: 5年間、すぐに提示できる形で保存。
- 従業員への説明: 位置情報や写真を使う場合は、利用目的を就業規則などで明示。
QRtimetrackでできること
QRtimetrackは、従業員のスマートフォンでのQRコード・GPS・自撮り打刻と、入口タブレットでの打刻を組み合わせた勤怠管理アプリです。時刻はサーバーで記録され、修正には理由が必要で履歴に残ります。
- 時間外・休日・深夜を自動で分けて集計し、月45時間を超えそうな従業員を把握できます。
- 月締めの後、従業員がスマホで勤務時間を確認。結果はレポートに残ります。
- Excel、CSV、PDFで出力し、保存や提示に使えます。
- 電波がない場所でも打刻でき、通信が戻ると実際の時刻で同期されます。
料金は稼働従業員1人あたり月1.99ユーロ、最低5人分(月9.95ユーロ、税別)、7日間無料です。紙の運用をすぐに変えられない場合は勤務表テンプレートを、アプリの詳細は勤怠管理アプリをご覧ください。入口の端末には特別オファーのタブレットもあります。タブレットのセットは提供地域が限られるため、日本への発送の可否はお問い合わせください。
よくある質問
勤怠管理システムの導入は法律で義務ですか?
いいえ。システムの導入や電子化そのものを義務づける法律はありません。義務なのは、始業・終業時刻を確認・記録し、労働時間の状況を客観的な方法で把握することです。タイムカードも客観的な方法の例に含まれます。
紙のタイムカードや出勤簿のままでも大丈夫ですか?
タイムカードのように時刻が機械で記録される方法であれば、紙でも客観的な記録といえます。手書きの自己申告だけの場合は、実態との照合などの措置が必要です。上限規制の管理や集計の手間を考えると、デジタル化のメリットは大きいといえます。
勤怠データはクラウドに保存してもよいですか?
クラウドでの保存も一般に可能です。必要なときにすぐ表示・印刷でき、改ざんや消失を防ぐ措置があることが重要です。個人情報保護法の観点では、委託先の監督や、海外のサーバーの場合は保存先の国の制度にも注意します。QRtimetrackのデータはEU(フランクフルト)に保存されます。
2024年問題とは何ですか?
2024年4月から、建設業、自動車運転の業務、医師などにも時間外労働の上限規制が適用されたことによる影響を指します。建設業は原則として一般の業種と同じ上限、自動車運転の業務は特別条項付きで年960時間が上限です。
管理職の勤怠も電子的に記録すべきですか?
管理監督者も労働安全衛生法上の労働時間の状況の把握義務の対象です。また深夜労働の割増賃金は管理監督者にも必要です。一般の従業員と同じ方法で打刻してもらうのが最も簡単です。